(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】第2843487号

(24)【登録日】平成10年(1998)10月23日

(45)【発行日】平成11年(1999)1月6日

(54)【発明の名称】焚焼残渣灰分を混入された陶器及びその製造方法

(51)【国際特許分類第6版】

C04B 33/13

// A47G 33/00

【FI】

C04B 33/13 E

A47G 33/00 M

【請求項の数】5

【全頁数】4

(21)【出願番号】特願平5−183258

(22)【出願日】平成5年(1993)6月30日

(65)【公開番号】特開平7−17756

(43)【公開日】平成7年(1995)1月20日

【審査請求日】平成7年(1995)7月3日

(73)【特許権者】

【識別番号】593141517

【氏名又は名称】宗教法人転迷山不動院開悟峯寺

【住所又は居所】宮城県宮城郡松島町高城字町六番地

(72)【発明者】

【氏名】佐々木 ○吉

【住所又は居所】宮城県宮城郡松島町高城字町六番地 宗教法人転迷山不動院開悟峯寺内

(74)【代理人】

【弁理士】

【氏名又は名称】富田 幸春

【審査官】 城所

(56)【参考文献】

【文献】特開 昭58−36969(JP,A)

【文献】特開 平4−6141(JP,A)

【文献】特開 昭63−209614(JP,A)

(58)【調査した分野】(Int.Cl.6,DB名)

C04B 33/13

A47G 33/00

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】陶土に異物の焚焼残渣灰分が混入されている陶器において、該異物灰分が火祭に供された焚焼残渣灰分であることを特徴とする焚焼残渣灰分を混入された陶器。

【請求項2】上記焚焼残渣灰分に凝結剤が添加されていることを特徴とする請求項1記載の陶器。

【請求項3】上記焚焼残渣灰分に着色剤が添加されていることを特徴とする請求項1記載の陶器。

【請求項4】陶土に異物焚焼残渣灰分が混入されている陶器の製造方法において、宗教的祭事に際し焚焼による火火祭を行うに伴って生ずる焚焼物の残渣灰分が一たん分離除去されて所定の陶土に混入して陶器の窯焼きするようにすることを特徴とする焚焼残渣灰分を混入された陶器の製造方法。

【請求項5】上記窯焼きに先立って釉薬処理がなされるようにされることを特徴とする請求項4記載の陶器の製造方法。

【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】開示技術は、護摩法要等の祭事においてとり行われる護摩焚き等の火祭に供される護摩木や添加物等の焚焼物の焚焼残渣の灰分を通常の陶土に所定に混入して釉薬処理等により窯焼きを介して所定の陶器を製造する技術の分野に属する。

【0002】

【従来の技術】周知の如く、産業が発達し、市民生活のレベルが著しく向上し、より豊かで平穏な社会生活が保証される近代化生活が営まれるようになってきているが、科学技術の高度の発達にもかかわらず、予期せぬ災害や不測の事故に見舞われことがしばしばあり、又、科学の発達にもかかわらず、各種の疾病に見舞われることもあり、又、これらの事故や病気,天災等による不可避的な死に対する精神的,心理的な不安等が避けられず、したがって、かかる精神的,心理的不安に対処するに、各種の宗教的祭事が自然信仰等を交えて、旧くから洋の東西を問わず広く行われている。

【0003】そして、かかる宗教的祭司は有形,無形の各種形態をとって多くの人々に信じられており、一定には律し得ないものであって多種多様の祭司形態がある。

【0004】このうち、自然信仰の要素と相俟って火祭と共に加持祈祷が行われる態様が広く定着し、根強い信仰の対象となっているものがある。

【0005】例えば、密教にあっては不動明王や愛染明王等の前で護摩壇を設け、該護摩壇にて所定サイズの焚焼物として乳木等の護摩木を焚き、その際、芥子,丸香,散香,薬種,塗香,五穀,飯食,本尊塗香,切花等やその他修法時に使うさまざまなものを共に焚物として供する態様もある。

【0006】而して、僧侶が所定の経文や呪文を唱えて家内安全,商売繁盛,悪魔退散,無病息災等の息災,増益,降伏の加持祈祷を行う法要が盛んに行われ、老若男女,善男善女等多くの人々の信仰心の対象となって都市部,地方部を問わず、安定した信心状態が保持されている。

【0007】そして、護摩,法要等の修法に参会した人々は精神的に極めて安定した心理状態にて帰宅するものであるが、その場合修法時の精神的安定状態と心理的満足状態を経時的に保持せんがために、僧侶が作成した祈祷文等の呪文が記載された所謂お札を購入して持ち帰ったり、祭事場,土産店や露店等で記念晶的陶器を購入して持ち帰り、一種の精神的よすがとして保持する風習がある。

【0008】かかる一面に於ける隆盛な産業に支持された物質文明の豊かさとは逆に他面における精神的不安定さの重大さに対して宗教的息災機能の需要の拡大はますます重要になってきていると言い得るものであり、又、宗教的活動の重要さの意味では却ってますます増大するとさえ言い得るものである。

【0009】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかるお札や事物は当該修法に参会したという一種の記念品的,おみやげ的購入物に過ぎず、したがって、当該おみやげ的,記念品的事物に対する精神的なつながりが経時的に薄れ、修法の延長につながる要素に欠ける欠点があった。

【0010】したがって、加持祈祷的要素が低減し、掃除や引越等の機会に不測にして廃棄される等の不具合があり、祭司的効果が希薄になっていくという不都合さがあり、教育上も好ましくないというネックがあった。

【0011】又、一方、祭事場に於て、護摩焚き等の焚焼終了後の焚焼残渣灰分については反復する焚焼の回数に伴ってその量が多くなり、風雨によって飛散したり、周辺に迷惑を及ぼすような不利点があり、堆積する量による廃棄処分も作業的に著しく煩瑣であり、その処分量によってはコスト的にマイナスとなり時間もかかるという不利点もあった。

【0012】かかる問題は寺院に於ける護摩焚き等の焚焼の火祭,祭司のみならず、例えば、斉場等に於ける線香や香焚焼に伴う残渣灰分についても同様なものであった。

【0013】

【発明の目的】この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく祭事に於ける護摩焚き等の焚焼に伴う問題点を解決すべき技術的課題とし、当該焚焼によって得られる精神的,心理的満足状態,平穏状態に加えて不可避的に発生する焚焼残渣灰分を半永久的に残り得る有用陶器等の素材分として利用し、修法の加持祈祷効果の経時的継続、及び、廃棄処分のネック等のデメリットを除去するようにして宗教的祭事産業における修法技術利用分野に益する優れた焚焼残渣灰分を混入された陶器、及び、その製造方法を提供せんとするものである。

【0014】

【課題を解決するための手段・作用】上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成は、前述課題を解決するために、密教等において修法を行うに際し、護摩壇を設け、僧侶が該護摩壇に護摩木等の焚焼物を焚焼等の火祭に供し、該火祭後の焚焼残渣灰分を篩により所定メッシュ以下に分離し、微粒灰分のみを所定の陶土に均一分散,混合,攪拌し、ろくろ,手ひねり等により所定形状の陶器本体を形成し、その際、適宜の凝結剤,着色剤等を混入し窯に入れて素焼きし、次いで、釉薬塗布や所定のデザインを施す等し、次いで、本窯焼きを行って取り出し所定に検品し箱積め等に供するようにしたり、上述プロセスにおいて修法の焚焼に際しては僧侶が作法に従って加持祈祷を行い、かかる陶器は花瓶,抹茶碗,湯呑碗等に用いられるようにされており、信者等は上述の如くして形成された陶器に加持祈祷による息災,増益,降伏等の加持が修されていることにより精神的満足が得られ、しかも、該陶器を各自が保管,所持することによりその御利益が経時的に持続しているものと信じ、宗教的心を持続し、日常生活における無事平穏が図られるようにした技術的手段を講じたものであ る。

【0015】

【発明の実施の形態】次に、この出願の発明の実施しようとする形態を実施例の形態として図面を参照して説明すれば以下の通りである。

【0016】開示実施例は真言密教における護摩修法の態様であって、当該修法に際し、僧侶が不動明王,愛染明王等の前にて護摩壇を所定に形成し、所定の乳木等の設定種類,サイズの護摩木、そして、芥子,丸香,散香,薬種,塗香,五穀,飯食,本尊塗香,切花等やその他修法時に使うさまざまなものによって護摩焚き等の火祭を行い、加持祈祷等の経文,呪文を唱えながら、家内安全,商売繁盛,無病息災等の法要を行う。

【0017】かくの如くして在来態様同様に護摩焚きが終了すると、その焚焼残渣灰分1を所定の篩2にかけ、所定メッシュ以下の微粉粒状の灰分にのみを分離して通常の陶器製作同様に陶土3と均一分散状に混合攪拌して陶器素材7とする。

【0018】その際、設計によって香料4、凝結剤5、着色剤6等を適宜に該陶器素材7に混入添加することも自在である。

【0019】かかるプロセスで陶器素材7を在来態様同様にろくろ,手ひねり等により陶器素焼き8を形成して該素焼き8の窯焼き9を行い、次いで、所定温度に素焼きの窯焼き9を施した陶器本体を取り出して釉薬処理10を行った後、窯焼き11を行って本焼きを成し、所定時間経過後窯出しして検品等の最終処理を行って出荷に供する。

【0020】この間の素焼き8や本焼きの窯焼き11において、僧侶による息災,増益,降伏等の加持祈祷の法要を行って加持を修することは可能である。

【0021】かくの如くして得られた焚焼残渣灰分1を混入された陶器は単なる記念品,おみやげ的花瓶,抹茶碗,湯呑碗だけでなく、護摩焚きの修法を受けた該焚焼残渣灰分1が陶土3に混入されていることから、購入者は当該護摩焚き等の加持祈祷の修法を受けた心理的体験に加えて当該護摩焚きの修法のこめられた陶器を常時保持保管することにより、息災,増益,降伏等の修法効果が現実の日常生活において具現化されるとの満足感を抱いて生活することにより精神的構えが充実し、確実にこれらの加持祈祷の効果が現れる条件が得られることになる。

【0022】尚、この出願の発明の実施態様は上述実施例に限るものでないことは勿論であり、例えば、応用例として焚焼物は護摩木のみならず、斉場に於ける線香や香の焚焼においても用いられることが可能であり、それらの焚焼残渣灰分も上述実施例同様に陶土に混入攪拌されて窯焼きを経て陶器とされることが出来、祭事終了後の参会者の故人に対する心理的,精神的な追慕感は極めて高いものである。

【0023】

【発明の効果】以上、この出願の発明によれば、基本的に密教における護摩壇等での護摩焚きを行うに供される護摩木の焚焼残渣灰分等を当該焚焼後に単に廃棄することなく、陶土に混入分散攪拌して陶器素材として用いることにより護摩焚きに際して行われる僧侶の加持,祈祷の修法法要がこめられた陶器とすることが出来、護摩焚焼として開運陶器的に保持されて無病息災,家内安全,商売繁盛等の御利益を信じ、精神的,心理的安心状態で日常生活を送ることから、生活態様や事業活躍等においてエネルギッシュな活動が、即ち、前向きな生活を送ることが出来るという優れた効果が奏される。

【0024】そして、焚焼灰分に香料が添加されることにより製品としての陶器に対しても香気が滲み込み、又、凝固剤が添加されることにより強度剛性がアップし、着色剤の添加により美麗な色彩が施されて意匠性もかもし出されるという優れた効果が奏される。

【0025】而して、護摩焚き等の焚焼に際し生ずる残渣灰分の集積堆積状態から廃棄処分にするような、又、周辺に灰分が風雨等により周辺に逸散して公害問題等を生ずる等という虞がなくなるという効果が奏される。

【0026】このようにして高度に発達した近代文明の科学技術によっても解決され得ない不測の事故,息災,病気等に対してこれに受身であって心理的に不安な状態で日常を過ごす現代人にあって、極めて有効に寄与する宗教的祭事の火祭に伴う加持,祈祷を行ってこの出願の発明の焚焼残渣灰分を混入された陶器にあっては当該祭事の火祭の焚焼のみならず、その所産としての焚焼残渣灰分を混入された陶器を所持することにより精神的律命に満された生活が送れ開運を期待することが出来るという効果もある。

【0027】又、素焼き状態の陶器に釉薬や所定のデザインを施すことにより陶器としての外観的価値も向上するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図1】この出願の発明の1実施例のプロセスを示すフローチャート図である。

【符号の説明】

焚焼残渣灰分

陶土

香料

凝結剤

着色剤

陶器素材

素焼き

窯焼き

10 釉薬処理