(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】第2912597号

(24)【登録日】平成11年(1999)4月9日

(45)【発行日】平成11年(1999)6月28日

(54)【発明の名称】葬儀方法

(51)【国際特許分類第6版】

A47G 33/02

【FI】

A47G 33/02 H

【発明の数】1

【全頁数】4

(21)【出願番号】特願平9−137542

(62)【分割の表示】特願昭62−306599の分割

(22)【出願日】昭和62年(1987)12月2日

(65)【公開番号】特開平10−243871

(43)【公開日】平成10年(1998)9月14日

【審査請求日】平成9年(1997)5月12日

(73)【特許権者】

【識別番号】395000599

【氏名又は名称】木下株式会社

【住所又は居所】福岡県久留米市野中町865番地

(72)【発明者】

【氏名】木下

【住所又は居所】福岡県久留米市野中町865番地 木下株式会社

(74)【代理人】

【弁理士】

【氏名又は名称】梶原 克彦

【審査官】 阿部

(56)【参考文献】

【文献】特開 昭61−176313(JP,A)

(58)【調査した分野】(Int.Cl.6,DB名)

A47G 33/02

(57)【特許請求の範囲】

1.葬儀の祭壇に設置された一のスクリーンと、故人の遺影を上記スクリーンに映写するスライド映写装置と、故人の生前の活動を撮影したビデオ画像を上記スクリーン上に映写するビデオ映写装置と、これら2種の映写装置による映写を葬儀の進行に合わせて切り替える切替手段とを備えた葬儀用映像装置を使用し、

葬儀の開始のときには、上記切替手段を操作して上記スライド映写装置から上記スクリーンに故人の遺影を映写するステップ、

弔辞のときには、上記切替手段を操作して上記ビデオ映写装置またはスライド映写装置を適宜切り替えて選択し、上記スクリーンに故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像を択一的に映写するステップ、

葬儀の終了のときには、上記切替手段を操作して上記スライド映写装置から上記スクリーンに故人の遺影を映写するステップ、

を含むことを特徴とする葬儀方法。

【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は新規な葬儀方法に関し、更に詳しくは、葬儀の祭壇に設置されたスクリーンと、スライド映写装置と、ビデオ映写装置と、これら2種の映写装置を切り替える切替手段とを組み合わせ、スライド映写装置によって葬儀の開始のとき及び終了のときには、きれいな遺影の静止画像をスクリーンに映写することによって葬儀にとって重要な要素である厳粛な雰囲気を確保し、弔辞のときには故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像を択一的にスクリーンに映写することによって、厳粛な葬儀の雰囲気を確保しながらも参列者の記憶に故人を鮮明に印象付けることができる葬儀方法に関するものである。

【0002】

【従来の技術】従来の葬儀は、故人の写真を額に入れた遺影を祭壇に飾り執り行っているが、この遺影は固定的であり内容に変化がない。また、葬儀の進行の過程では、故人の略歴や業績などを紹介する弔辞や、故人の生前の声の録音、例えば講演の一部を場内に流したりすることが行われているが、それに対応するものは上記した遺影のみであり、変化に乏しい。

【0003】従って、弔辞や個人の録音等では、故人と面識のない参列者は式に飽きてしまう。このように、遺影と司会者の声のみによる葬儀では、参列者が故人を深く理解し、偲ぶには不充分であり、その結果、葬儀の参列者の記憶に故人を鮮明に印象付け蘇らせることができない。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】ところで、実開昭60−191286号公報には、祭壇にテレビ受像機を設置してビデオ設備から送られて来る生前の映像を表すようにした装置が開示してある。また、同公報には、故人の遺影を示す写真をテレビ受像機の前面に配置すると共に、これを移動する装置も開示してある。これによれば、ビデオ設備から送られて来る映像だけの場合と比べて葬儀らしい体裁を整えることはできる。

【0005】しかし、写真を上下または左右に移動させる装置は、全体として大掛かりとなるために、どこにでも設置できるというわけにはいかない。また、葬儀の最中に写真が移動すると、葬儀に集中できず、葬儀の厳粛な雰囲気をぶち壊してしまうという問題点もある。このため、理論上は使用可能でも実際上葬儀に使用するには無理がある。

【0006】ところで、葬儀の場合、参列者及び式場の都合等から予め葬儀の開始及び終了の時間は決まっている。葬儀にビデオ映写装置を使用する場合は、葬儀時間内に必要な映写ができるように故人の映像は編集される。人の死は突然であり、葬儀の準備は、故人の死から式の開始までの僅かな時間で行わなければならない。従って、式のリハーサル等はなく、直ちに本番となるために、予定通りに葬儀が終了することは少なく、長引く場合が多い。このため、上記編集されたビデオ映像の映写時間と式の時間とが一致せず、ブラウン管やスクリーンに映像が写らない空白時間が生じる。

【0007】この対策としては、ビデオ映像を停止させることによって対応することはできる。しかし、ビデオ映像を停止させると輪郭がギザギザとなった汚い静止映像が映写されるために、葬儀にとって重要な、厳粛な雰囲気を壊してしまう。このように、静止映像である遺影を映写する必要があり、しかも長引く場合が多い葬儀に使用する映写装置としては、ビデオ映写装置だけでは十分ではない。

【0008】特開昭61−176313号公報には、スライド装置または磁気記録再生装置等を択一的に選択したものを使用してスクリーンに祭壇を表示できる装置が開示してある。このスクリーンに映写されるのは祭壇であり、スクリーンで手軽に祭壇を構成するものであるがために、葬儀の厳粛な雰囲気に欠け、厳粛な葬儀には相応しくない。また、スライド装置を使用する場合は、スクリーンには静止映像が映写されるのみで変化に乏しく、葬儀の参列者に故人を深く印象付けることはできない。また、磁気記録再生装置を使用した場合は上記ビデオ映写装置の場合と同様の問題点を有している。

【0009】そこで本発明の目的は、スライド映写装置によって葬儀の開始のとき及び終了のときには、きれいな遺影の静止画像をスクリーンに映写することによって葬儀にとって重要な要素である厳粛な雰囲気を確保し、弔辞のときには故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像を択一的にスクリーンに映写することによって、葬儀にとって重要な要素である厳粛な雰囲気を確保しながらも葬儀の参列者に故人を深く印象付け、しかも故人と面識がない参列者でも故人を深く理解し、身近に感じることができるようにした葬儀方法を提供することにある。

【0010】

【課題を解決する為の手段】上記問題点を解決し、目的を達成するために講じた本発明の構成は次の通りである。即ち本発明は、葬儀の祭壇に設置された一のスクリーンと、故人の遺影を上記スクリーンに映写するスライド映写装置と、故人の生前の活動を撮影したビデオ画像を上記スクリーン上に映写するビデオ映写装置と、これら2種の映写装置による映写を葬儀の進行に合わせて切り替える切替手段とを備えた葬儀用映像装置を使用し、葬儀の開始のときには、上記切替手段を操作して上記スライド映写装置から上記スクリーンに故人の遺影を映写するステップ、弔辞のときには、上記切替手段を操作して上記ビデオ映写装置またはスライド映写装置を適宜切り替えて選択し、上記スクリーンに故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像を択一的に映写するステップ、葬儀の終了のときには、上記切替手段を操作して上記スライド映写装置から上記スクリーンに故人の遺影を映写するステップ、を含むことを特徴とする葬儀方法、である。

【0011】スクリーンは遺影を表す為のものであるから額縁に納めるのが好ましい。スクリーンは通常は祭壇の中央部に設置されるが、状況に応じて祭壇の左右あるいは複数箇所に設置される。

【0012】作

葬儀の祭壇に設置されたスクリーンと、スライド映写装置と、ビデオ映写装置と、これら2種の映写装置を切り替える切替手段とを組み合わせ、スライド映写装置によって葬儀の開始のとき及び終了のときには、きれいな遺影の静止画像をスクリーンに映写することによって葬儀にとって重要な要素である厳粛な雰囲気を確保し、弔辞のときには故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像を択一的にスクリーンに映写することによって、厳粛な葬儀の雰囲気を確保しながらも参列者の記憶に故人を鮮明に印象付けることができる。

【0013】

【発明の実施の形態】本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。図1は葬儀場における映写装置の設置状態を示す概略説明図である。祭壇A内のほぼ中央部の奥側には、額縁11を組み、この額縁11に装備されたスクリーン1が設けてある。額縁11の回りは、図示を省略した布で装飾してある。スクリーン1の大きさは、本実施例においては縦3m、横4mである。スクリーン1の前方(祭壇A内の前側)には、約4mの距離をおいて、ビデオ映像及びスライド映像を映写する映写装置2が設置されている。

【0014】映写装置2は祭壇に飾られた生花等の遮蔽物3によって隠蔽され、参列者側からは見えないようになっている。葬儀司会者等の手元には、図示を省略した、操作手段であるワイヤレスリモートコントローラ(以下「リモコン」という)を配置し、これを操作して映写装置2を作動させ、スライド映像とビデオ映像とを切替え、或は映写する対象物を切替えるようにしてある。映写装置2を隠蔽している遮蔽物3の手前には遺骨4が載置してあり、更にその手前に焼香台5が設けてある。

【0015】

【実施例】以下、仏式の葬儀(社葬)を例にとり本実施例の方法を進行表を参照して説明する。なお、以下に説明する遺影は静的映像である。

式次第 映写内容

[葬儀式] リモコンを操作して遺影の状態にしておく。以下、操作はリモコンによる。

1. 一同着席 遺影

2. 僧侶入場 遺影

3. 開式の辞 遺影

4. 読経 遺影

5. 生前の声 遺影をやめ、記念式典での祝辞などビデオ映像を流す

6. 弔辞 弔辞の順に合わせてスライドを変え略歴、業績を紹介する

7. 読経、焼香 生前のスライドを映し出す

8. 僧侶退場 遺影

9. 弔電の披露 生前のスライドを映し出す

10.葬儀委員長の挨拶 遺影

11.閉式の辞 遺影

[告別式]

1.開式の辞 遺影

2.告別焼香 生前のビデオ映像及びスライドを映し出す

3.遺族代表挨拶 遺影

4.閉式の辞 遺影

5.御遺骨お見送り 遺影

【0016】[葬儀式]においては、3.の開式から読経が終了するまでは、スクリーンには故人の遺影を映写する。

5.の生前の声は動的なビデオ録画で声と共に映像を映写することにより、故人の生前を知らない参列者でも鮮明に故人を偲ぶことができる。

【0017】6.の弔辞では、読み上げられる弔辞に並行して故人の生前のスライドを順次映し出す。弔辞は葬儀委員長と社員代表、及び関係団体代表、友人代表が読み上げるのが普通であり、葬儀委員長の弔辞には故人の略歴を、社員代表の弔辞には故人の業績を、関係団体代表には故人の功績を、友人代表の弔辞には故人の人柄や趣味など人間的な面が折りこまれている。映写される映像は弔辞の内容に即して構成されるのが望ましいが、弔辞を補足し参列者が故人を深く理解し、偲ぶことができれば必ずしも内容に即する必要はない。

【0018】続いて7.の焼香となるが、このときは故人の生前の写真のスライド等を中心に映写する。

9.の弔電の披露では生前のスライドを映写することにより会葬者に時間を感じさせない。後は閉式まで遺影が映写される。

【0019】[告別式]においては、告別焼香のときに故人の生前の動的なビデオあるいは写真のスライド等を中心に映写する外は、遺影が映し出される。

【0020】なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって何等限度的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で数々の変更態様が可能であることは言うまでもない。

【0021】

【発明の効果】本発明は上記構成を有し、次の効果を奏する。

(1)葬儀の祭壇に設置された一のスクリーンと、故人の遺影をスクリーンに映写するスライド映写装置と、故人の生前の活動を撮影したビデオ画像をスクリーン上に映写するビデオ映写装置と、これら2種の映写装置による映写を葬儀の進行に合わせて切り替える切替手段とを備えており、スクリーン上の映像を切替手段によって瞬時に切替えることができる。このように、祭壇に設置されたスクリーンには、スライド映写装置によってきれいな静止映像を、またビデオ映写装置によって動く映像を映写できるため、葬儀にとって重要な要素である厳粛な雰囲気を確保しながら参列者に故人を深く印象付け、しかも故人と面識がない参列者でも故人を深く理解し、身近に感じさせることができる。

【0022】(2)ビデオ映写装置の他にきれいな静止映像を必要な時間だけ映写できるスライド映写装置を備えている。このため、静止映像である遺影をきれいに映写することができる。また、葬儀が長くなって、ビデオ映像の映写時間と葬儀の式の時間とが一致しない場合は、スクリーンにスライド映写装置からきれいな映像を映写することができるため、厳粛な葬儀の雰囲気を確保しながら時間の不一致による空白時間を埋めることができる。

【0023】(3)葬儀の開始のときには、切替手段を操作してスライド映写装置からスクリーンに故人の遺影を映写するステップ、弔辞のときには、切替手段を操作してビデオ映写装置またはスライド映写装置を適宜切り替えて選択し、スクリーンに故人の生前の活動を撮影したビデオ画像またはスライド画像を択一的に映写するステップ、葬儀の終了のときには、切替手段を操作してスライド映写装置からスクリーンに故人の遺影を映写するステップ、を含み、スクリーンを介して故人に関する情報を参列者の視覚と聴覚の両方に訴えることができる。これによって葬儀を単なる別れの式に終わらせず、故人を知る参列者のみならず、故人と面識がない大多数の参列者にも故人の印象を焼き付け、心の中に故人が生き続けることができるようにすることができる。つまり、スライド映写装置とビデオ映写装置という映像機器を駆使することによって、葬儀を故人が永遠の生命に生きられるスタートの儀式として位置付けることが可能になるばかりか、参列者に対しては、故人の死を通して自らの人生を顧み、見直す場とすることができ、葬儀の真の意義を高めることができる葬儀方法が提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図1】葬儀場における映写装置の設置状態を示す概略説明図である。

【符号の説明】

スクリーン

映写装置

遮蔽物