(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】第2988935号
(24)【登録日】平成11年(1999)10月8日
(45)【発行日】平成11年(1999)12月13日
(54)【発明の名称】育毛キャップ
(51)【国際特許分類第6版】
A45D 19/14
A61H 7/00 322
39/04
A61M 35/00
【FI】
A45D 19/14
A61H 7/00 322 Z
39/04 M
W
A61M 35/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願平11−48475
(22)【出願日】平成11年(1999)2月25日
【審査請求日】平成11年(1999)2月25日
(31)【優先権主張番号】特願平10−177575
(32)【優先日】平10(1998)6月24日
(33)【優先権主張国】日本(JP)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
(73)【特許権者】
【識別番号】597092152
【氏名又は名称】保 知 ○
【住所又は居所】東京都新宿区下落合3丁目xxx
(72)【発明者】
【氏名】福山 ○喜
【住所又は居所】東京都新宿区上落合1丁目xxx
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 勝美
【審査官】 増沢 誠一
(56)【参考文献】
【文献】特開 平11−19221(JP,A)
【文献】特開 平9−28448(JP,A)
【文献】実開 昭63−16032(JP,U)
【文献】実開 昭61−24041(JP,U)
【文献】特許2818935(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.6,DB名)
A45D 19/14
A45D 19/00 - 19/02
A61K 7/06
A61M 1/00 510
A61M 37/00
A61H 23/04
【要約】
【課題】 蒸気、育毛剤等をむらなく頭皮全体に行き渡らせることができ、頭皮を刺激しマッサージ効果を上げることができ、キャップの装着が容易で、周縁シール部のシール状態及び開放状態のいずれをも容易に選択することができる育毛キャップを提供する。
【解決手段】 育毛キャップ11は、鉢状に形成され可撓性を有するキャップ本体13と、このキャップ本体の内側に内方に向かって突出して形成された多数の突起27と、キャップ本体の開口縁部に環状に設けられ、内部に空気を送入しうる空洞を有する周縁シール部17であって、この空洞に空気を送入することによって内方へ向かって膨出し頭部H側面に密着してシールする周縁シール部17と、キャップ本体13内部に対して流体を出し入れするため、キャップ本体に設けられたポート15とを有している。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉢状に形成され可撓性を有するキャップ本体と、このキャップ本体の内面に内方に向かって突出して形成された多数の突起と、前記キャップ本体の開口縁部に環状に設けられ、内部に空気を送入しうる空洞を有する周縁シール部であって、この空洞に空気を送入することによって内方へ向かって膨出し頭部側面に密着してシールする周縁シール部と、前記キャップ本体内部に対して流体を出し入れするため前記キャップ本体に設けられたポートとを備えたことを特徴とする育毛キャップ。
【請求項2】 前記周縁シール部の内径は、前記空洞に空気が送入されていない自然状態において、前記頭部側面との間に間隙を確保しうるように頭部側面の外径より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の育毛キャップ。
【請求項3】 前記周縁シール部は、頭部とキャップ本体との間に形成される空間につき密閉状態が必要な場合にのみ頭部との間をシールし、それ以外は開放とするよう作動することを特徴とする請求項2記載の育毛キャップ。
【請求項4】 前記周縁シール部には、この周縁シール部の外周に嵌合するリング状部材が設けられていることを特徴とする請求項2記載の育毛キャップ。
【請求項5】 前記周縁シール部に形成された空気を送入する前記空洞は、環状に上下2段に形成されていることを特徴とする請求項1記載の育毛キャップ。
【請求項6】 前記突起は、前記ポートの周囲に設けられる内側突起と、該内側突起の外側に設けられる外側突起からなり、該内側突起は真空加圧時に頭部を押圧するがそれ以外の時は頭部より離れるよう設け、該外側突起は真空加圧時以外の時も頭部に当接するよう設けることを特徴とする請求項1記載の育毛キャップ。
【請求項7】 前記キャップ本体の下部にキャップ本体のせり上がりを防止するための顎ベルトを設けたことを特徴とする請求項1記載の育毛キャップ。
【請求項8】 前記キャップ本体の外側には、このキャップ本体を覆うキャップカバーが設けられていることを特徴とする請求項1記載の育毛キャップ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、頭髪の育毛用に用いる育毛キャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の育毛方法としては、育毛剤を頭部に散布し指でマッサージを行ないつつ毛根部に浸透させる方法、あるいは、育毛剤を頭部に散布した後ブラシ等でたたいて頭皮に刺激を与えつつ毛根部に浸透させる方法などが知られている。しかし、上記の育毛方法は、頭部に育毛剤を散布しても頭部に均一に散布することはむずかしく、しかも毛根部に十分に浸透させることもむずかしい。したがって、指によるマッサージあるいはブラシ等でたたいて刺激を与えても効果が十分に発揮できない等の欠点があった。
【0003】これに対して、頭部にヘルメットを被せ、このヘルメットと頭部との間に洗浄液、育毛液等を供給して頭部の育毛を行う育毛方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方法に使用されるヘルメットは、ヘルメット自体が金属等の剛体で構成され、一方ヘルメット開口縁部と頭部側面との間は、頭部の外径より小径の弾性体シールカバーによってシールしていた。このようなヘルメットは、シールカバーが頭部の外径より小径であるため、ヘルメットの装着が面倒であった。また、弾性体からなるシール部が常にヘルメット開口縁と頭部との間をシールしているため、洗浄工程、育毛工程に応じてこの間のシールを作用させたり解除したりすることができない。また、ヘルメットが剛体であるため、ヘルメットと頭部の間の空間に対して真空引きや空気の供給を行う際、その圧力差によってヘルメットが上下に移動してしまい、頭部側面とヘルメット開口縁との間のシールが困難になる。さらに、真空引きの際、ヘルメット内壁が頭皮に接触してしまい、洗浄液、育毛液等が充分に行き渡らないという欠点があった。
【0005】本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、蒸気、育毛剤等をむらなく頭皮全体に行き渡らせることができ、頭皮を刺激しマッサージ効果を上げることができ、キャップの装着が容易で、周縁シール部のシール状態及び開放状態のいずれをも容易に選択することができる育毛キャップを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本願発明による育毛キャップは、鉢状に形成され可撓性を有するキャップ本体と、このキャップ本体の内側に内方に向かって突出して形成された多数の突起と、キャップ本体の開口縁部に環状に設けられ、内部に空気を送入しうる空洞を有する周縁シール部であって、この空洞に空気を送入することによって内方へ向かって膨出し頭部側面に密着してシールする周縁シール部と、キャップ本体内部に対して流体を出し入れするためキャップ本体に設けられたポートとを備えることを特徴とする。また、前記周縁シール部の内径は、前記空洞に空気が送入されていない自然状態において、前記頭部側面との間に空隙を確保しうるように頭部側面の外径より大きく形成されていることを特徴とする。また、前記周縁シール部は、頭部とキャップ本体との間に形成される空間につき密閉状態が必要な場合にのみ頭部との間をシールし、それ以外は開放とするよう作動することを特徴とする。また、前記周縁シール部には、この周縁シール部の外周に嵌合するリング状部材が設けられていることを特徴とする。また、前記周縁シール部に形成された空気を送入する前記 空洞は、環状に上下2段に形成されていることを特徴とする。また、前記突起は、前記ポートの周囲に設けられる内側突起と、該内側突起の外側に設けられる外側突起からなり、該内側突起は真空加圧時に頭部を押圧するがそれ以外の時は頭部より離れるよう設け、該外側突起は真空加圧時以外の時も頭部に当接するよう設けることを特徴とする。また、前記キャップ本体の下部にキャップ本体のせり上がりを防止するため顎ベルトを設けたことを特徴とする。また、前記キャップ本体の外側には、このキャップ本体を覆うキャップカバーが設けられていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による育毛キャップをさらに詳しく説明する。図1は、本願発明による育毛キャップの一実施の形態を示す。この育毛キャップ11は、鉢状のキャップ本体13を有している。このキャップ本体13はシリコンゴムからなり、頂部に金具からなるポート15が設けられている。このポート15は、キャップ本体13と頭部Hとの間に、蒸気、育毛剤、加圧空気を注入し、またキャップ本体13内の空気を吸引するようになっている。
【0008】また、このキャップ本体13の下端開口縁部には、環状の周縁シール部17が設けられている。この周縁シール部17は、空気が送入される環状の空洞19を有している。この環状の空洞19には、他のポート21が連結されており、このポート21から空気を環状の空洞19に導入するようになっている。そして、この環状の空洞19に空気を入れることによって、図2にて示すように、周縁シール部17を内方に膨出させ、周縁シール部17と頭部Hとの間をシールするようになっている。空気を送入していない自然状態における周縁シール部17の内径Dは、頭部Hの外径dより若干大きく設定されているから、自然状態で周縁シール部と頭部Hとの間には間隙tが生ずるようになっている。このようにすることによって、育毛キャップ11を容易に装着することができる。また、周縁シール部17を作動させるか否かによって、周縁シール部17と頭部Hとの間をシールするか、開放状態にするか選択することができ、このため、洗浄工程、育毛工程において、最適の動作をさせることができる。即ち、密閉状態が必要な場合にのみ周縁シール部17と頭部Hとの間をシールし、それ以外は 開放とする。よって、頭部の長時間にわたる締め付け及びこれにより頭が痛くなるのを防止する。例えば、後述する頭部の蒸気洗浄の際、ポート21から導入された洗浄用の蒸気をこの間隙tを通って外部へ排出することができる。
【0009】周縁シール部17の下端には、この下端から上方に折り返された折り返し部23が設けられている。この折り返し部23と周縁シール部17との間には、環状の金属ベルト25が配設されている。この金属ベルト25は、周縁シール部17の空洞19に空気が送られたとき、周縁シール部が外方へ膨出するのを防止し、内方にのみ膨出させて頭部Hとの間を強力にシールするようにしたものである。
【0010】一方、可撓性を有するキャップ本体13の内面には、多数の突起27、…が形成されている。この突起27の先端は半球状に形成されており、育毛キャップ11を頭部Hに被ったとき、キャップ本体13と頭皮との間に空間33を確保し、また真空加圧時にこの突起27が頭皮に当接することができるようになっている。従って、蒸気、育毛剤等をキャップ本体13内に注入する際、蒸気、育毛剤等が頭皮全体にわたって充分に行き渡り、育毛効果にむらが生じるのを防止することができる。また、ポート15を通してキャップ本体13内の空気を吸引すると、大気圧によって可撓性を有するキャップ本体13が頭部Hに向かって押され、半球状の突起27、…が頭部Hの頭皮を押圧して刺激を与え、頭皮をマッサージすることができるようになっている。さらに、真空引きを行った場合、キャップ本体13が可撓性を有しているため、突起27が頭部に向かって押圧される。このため、キャップ本体13を下支えするから周縁シール部17が上下方向に動かされなくなり、周縁シール部17と頭部Hとのシールを確実にすることができる。
【0011】このキャップ本体13の外側には、金属製の外側キャップ29が設けられている。この外側キャップ29は、その上部のみがポート15に固定されており、下端は金属ベルト25や、周縁シール部17に対して自由に上下動できるようになっている。この金属ベルト25とキャップ本体13の下端部の間に一対の顎ベルト30を固着する。この顎ベルト30は顎部にて着脱可能に緊合し、これにより、真空加圧工程及び薬液工程時における真空吸引によるキャップ本体13のせり上がりを防止する。
【0012】このような構成の育毛キャップ11は、図3に示すような育毛装置31に接続して使用される。以下これを使用した育毛装置31における育毛方法について説明する。
【0013】まず、界面活性剤等で頭部を洗浄し、完全に乾燥した後、育毛キャップ11を頭部Hに被せる。次いで頭に被せたキャップ本体13内に約50℃乃至約60℃の蒸気を3分間供給する。この蒸気にはオゾンが混合されている。この工程は1分間乃至99分間に設定することができる。これにより血行を促進し毛孔を広げて毛孔に形成されている皮膜層(これが育毛剤浸透のバリヤになっている)を緩めるのである(スチーム工程)。
【0014】次に、三方弁からなるバルブ53を回転させて大気に連通させ、三方弁からなるバルブ55を閉めるとともに三方弁からなるバルブ57を開ける。次に真空ポンプ36によりパイプ47を通して周縁シール部17の空洞19に空気を供給する。そして、周縁シール部17を内方へ膨出させて頭部H側面に密着させる。この周縁シール部17内の空洞19内部の圧力が所定の圧力に達すると、センサが作動して真空ポンプ36は一時停止する。このようにして、図2に示すように、頭部Hと育毛キャップ11の内面との間に密閉空間33が形成される。
【0015】次に、バルブ57を閉じて周縁シール部17を頭部に密着した状態とし、バルブ53を開としてパイプ48に連通させ、バルブ55を切り替えて大気中に連通させる。そして、真空ポンプ36により、パイプ48を通して育毛キャップ11内の密閉空間33から空気を吸引し、パイプ52、51を介してバルブ55より排気する。これによりキャップ本体13内は真空状態となる。次いで、バルブ53を閉とし、この状態でバルブ55を開としてパイプ48に連通させ、パイプ54及びパイプ48を通して密閉空間33へ加圧空気の噴射を行う。
【0016】以後、この蒸気噴射と加圧空気の噴射からなる頭皮洗浄サイクルを、約5秒間隔で所定回数例えば17回繰り返す。そして、毛根周囲の排泄された皮膚と脂肪を排出し、頭皮上に残った界面活性剤を密閉空間33から外部へ排出する。なお、洗浄サイクルは1回乃至99回に設定可能である。
【0017】その後、育毛サイクルがスタートする。この育毛サイクルは周縁シール部17を頭部に密着した状態としてキャップ本体13内を真空状態とし、この状態でバルブ64を瞬間的に開とする。すると、育毛剤供給ユニット38から供給される育毛剤が加圧空気により微粒子となって密閉空間33へ噴射される。このときバルブ55は開となっており、真空ポンプ36が駆動されて加圧空気を密閉空間33へ噴射するため、育毛剤が所定圧力によって毛根の周囲の頭皮の深部に押し込められ浸透するのである。頭皮へ適用された蒸気は、毛根の周囲の頭皮を広げ、毛根周囲の頭皮への育毛剤の浸透を促進する。
【0018】次に、バルブ55を切り替えて大気と連通し密閉空間33を開放する。またバルブ57を大気に連通させて周縁シール部17の空気を抜き、1サイクルが終了となる。かかる育毛サイクルは所定回数例えば17回繰り返される。なお、育毛サイクルは1回乃至99回に設定可能である。かくして薬液工程が終了すると育毛キャップ11は頭部から外される。なお、育毛剤は薬剤及びクリーム等の乳化剤からなる。
【0019】上述の作業は、コンピュータ制御の下に自動的に行われ、各バルブの動作は圧力スイッチにより供給される信号によって自動的に制御される。なお、送給される空気の加圧度の調整は当該バルブの開口度の調整による。
【0020】上記したところを図4乃至図7に示すフローチャートを参照して確認してみる。
【0021】まずキャップ本体13を頭に被せ、蒸気発生器37をオン(ON)にすると(ステップ11(S11))バルブ61が開となり(ステップ12(S12))、キャップ本体13内に蒸気を供給する。次いで蒸気発生器37をオフ(OFF)にすると(ステップ13(S13))、バルブ61が閉となる(ステップ14(S14))。これにより前処理としてのスチーム工程が終了する。
【0022】次いで真空加圧工程に移行する。即ち、まずポンプ36をオン(ON)とし(ステップ21(S21))、加圧モードとする(ステップ22(S22))。すると、これに連動してバルブ57がON(開)となり(ステップ23(S23))、周縁シール部17に空気が供給されるので、周縁シール部17がオン(ON)となる(ステップ24(S24))。周縁シール部17が頭部に密着すると(ステップ25(S25))センサ(図示せず)がこれを感知し、バルブ57がOFF(閉)となる(ステップ26(S26))。これによりキャップ本体13と頭部Hとの間に密閉された空間33が形成される。次いでステップ27(S27)に移行しポンプ36が減圧モードとなる。するとこれに連動してバルブ53がON(開)となるから(ステップ28(S28))、キャップ本体13の空気が吸引されキャップ本体13内が減圧される(ステップ29(S29))。次いでバルブ53がOFF(閉)となって真空状態を維持した状態において(ステップ30(S30))、バルブ55がON(開)となりパイプ52及びパイプ51内の加圧された空気がパイプ54に排気される(ステップ31 (S31))。バルブ55が開となるとパイプ54がパイプ48に連通されるから、この排気された空気即ち加圧空気がパイプ54よりパイプ48を通ってキャップ本体13内に噴射される(ステップ32(S32))。この加圧空気の噴射により、前記したスチーム工程において緩めた老廃物や皮膜層は吹き飛ばされたり(ステップ32(S32))吸引される(ステップ29(S29))。次いでバルブ55を大気に連通せしめてキャップ本体13内を常圧に戻し(ステップ33(S33))、またバルブ57を大気に連通せしめて周縁シール部17の空気を抜く(ステップ34(S34))。すると周縁シール部17がオフ(OFF)(開放)となる(ステップ35(S35))。つまり周縁シール部17は頭部Hより一旦後退する。上記した洗浄サイクル(ステップ22(S22)乃至ステップ35(S35))を適宜回数、例えば17回繰返した後(ステップ36(S36))、ポンプ36はオフ(OFF)となる(ステップ37(S37))。
【0023】次いでスチーム工程に移行する。このスチーム工程は1分間である。各部のステップは前記したところ[0021]と同様である。
【0024】次いで薬液工程に移行する。即ち、まずポンプ36をオン(ON)とし(ステップ41(S41))、加圧モードとする(ステップ42(S42))。すると、これに連動してバルブ57がON(開)となり(ステップ43(S43))、周縁シール部17に空気が供給されるので、周縁シール部17がオン(ON)となる(ステップ44(S44))。周縁シール部17が頭部に密着すると(ステップ45(S45))センサ(図示せず)がこれを感知し、バルブ57がOFF(閉)となる(ステップ46(S46))。これにより密閉空間33が形成される。次いでステップ47(S47)に移行しポンプ36が減圧モードとなる。するとこれに連動してバルブ53がON(開)となるから(ステップ48(S48))、キャップ本体13の空気が吸引されキャップ本体13内が減圧される(ステップ49(S49))。次いでバルブ53がOFF(閉)となって真空状態を維持した状態において(ステップ50(S50))、薬液用のポンプ63がオン(ON)となる(ステップ51(S51))。すると、これに連動してバルブ64が瞬間的(約0.25秒間)にON(開)となり、育毛剤 、乳化剤等からなる薬液を前記密閉空間33内に供給する(ステップ52(S52))。
【0025】次いでバルブ55がON(開)となり(ステップ53(S53))、パイプ54がパイプ48に連通される。すると、パイプ52及びパイプ51内に排気されていた空気が、加圧された状態となって、パイプ54よりパイプ48を通ってキャップ本体13内に噴射される。即ち、ステップ51(S51)により供給された薬液は、前工程のスチーム工程において供給された蒸気のある密閉空間33内に加圧空気により噴射されることになる(ステップ54(S54))。しかも、このときの密閉空間33内はステップ47(S47)以下のステップにより真空となっている。このため、薬液は蒸気と加圧空気の相乗作用により、毛根部に押し込まれ浸透することになる。このため、髪の毛に邪魔されずに浸透することが可能となり、髪の毛の残存量の多寡にかかわらず適用可能となる(現状維持の人にも適用可能)のである。次いでバルブ55を大気に連通せしめてキャップ本体13内を常圧に戻し(ステップ55(S55))、またバルブ57を大気に連通せしめて周縁シール部17の空気を抜く(ステップ56(S56))。すると周縁シール部17がオフ(OFF)(開放)となる(ステップ 57(S57))。つまり周縁シール部17は頭部Hより一旦後退する。上記した育毛サイクル(ステップ42(S42)乃至ステップ57(S57))を適宜回数、例えば17回繰返した後(ステップ58(S58))、ポンプ36はオフ(OFF)となる(ステップ59(S59))。
【0026】上記した実施の形態にかかる育毛キャップ11によれば、鉢状に形成されキャップ本体13の内側に多数の突起27、…を内方に向かって突出して形成しているから、キャップ本体13と頭部Hとの間に所定の空間33を確保することができ、従って洗浄、育毛等のためにキャップ本体内に供給される蒸気、育毛剤等を、髪の毛の残存量にかかわらず、むらなく頭皮全体に行き渡らせることができる。
【0027】また、可撓性を有するキャップ本体13の内側に多数の突起27を形成しているから、真空引きをした際に突起が頭皮に押圧され頭皮を刺激するので、マッサージ効果を上げることができる。
【0028】また、キャップ本体13の開口縁部に、内部に空気を送入しうる空洞19を有し、この空洞19に空気を送入することによって内方へ向かって膨出し頭部H側面に密着してシールする周縁シール部17を設け、空気が送入されていない自然状態における周縁シール部17の内径を頭部H側面の外径より大きく設定しているから、キャップ装着時には周縁シール部17を後退させておくことができ、従って、キャップの装着を容易に行うことができる。また、空気の送入、排気を操作することによって、周縁シール部17と頭部Hとの関係について、シール状態及び開放状態のいずれをも選択することができる。従って、密閉状態が必要な場合にのみ周縁シール部17と頭部Hとの間をシールし、それ以外は開放とするから、頭部の長時間にわたる締め付け及びこれにより頭が痛くなるのを防止する。よって、洗浄、育毛等のそれぞれの処理において最適の処理を行うことができる。
【0029】また、周縁シール部17には、この周縁シール部の外周に嵌合する金属ベルト25が設けられているから、空洞19に空気が送入されたとき周縁シール部17が外方へ膨出するのを防止することができ、従って内方へのシールを確実に行うことができる。
【0030】また、前記キャップ本体13の外側には、このキャップ本体13を覆うキャップカバー29が設けられているので、美麗な外観を提供することができる。
【0031】また、真空加圧工程又は薬液工程における空気の流れは、ポンプ36の減圧モード時における吸引とポンプ36の加圧モード時における加圧押込みであり、この相反する動きが頭皮に交互に作用することになる。よって、これによっても頭皮の血行が促進されるので、マサージ効果が良好となり、育毛にも好影響を与えるのである。
【0032】また、加圧空気はキャップ本体13内を真空状態とするために吸引した空気の排気を利用する。即ち、ポンプは別に加圧用のものを設けずにポンプ36を真空減圧用にも加圧用にも利用するから、装置全体がコンパクトになる。
【0033】また、加圧空気が利用できるため、育毛剤がアルコール系の成分だけでなく、揮発しない成分を含む場合であっても、毛根部への浸透が容易になるのである。
【0034】また、真空加圧工程及び薬液工程の前にいずれもスチーム工程があるので、周縁シール部17の頭部Hへのシールの確実性が一層向上する。即ち、スチーム工程において噴射された蒸気の水滴が周縁シール部17に付着し、その結果、周縁シール部17と頭部Hとの密着度が増大するからである。
【0035】さらに、頭部Hとキャップ本体13の内側との間に密閉された空間部33を形成して真空状態とし、ここへスチームを噴射するとともに高圧の空気を噴射するから、毛根部の皮膚を広げつつ老廃物を除去するとともに、育毛剤を効率よく毛根部へ浸透させることができる。
【0036】本願発明は上記した実施の形態に限定されない。例えば、周縁シール部17の空洞19は複数設けてもよく、図8に示すように、上下方向に2段に形成することができる。このようにすると、この空洞19に空気を送入した場合、1点鎖線に示すように内方への膨出部が上下に2箇所できることになり、頭部Hの側面におけるシールをより確実に行うことができる。即ち、このように空洞19を2段に設けると、夫々の空洞19の径が小となるのでむらなく膨らませることができ、しかも頭部Hと接触する表面積が大となるためシールの確実性が一層向上するのである。また、頭部Hと接触する表面積が大となるため、頭部を圧迫することが少なくなり、頭が痛くなるのを防止するのである。
【0037】また、周縁シール部17の大きさも適宜に変更することができる。例えば、図9に示すように、周縁シール部17の内側上下部に適宜の段差17a、17bを設ければ、大小のある種々の頭部Hに対応させることができ、頭部Hの小なる場合にもより一層のシールの確実を期することができる。
【0038】突起27の個数も適宜数でよい。また突起27の先端部の形状、あるいは長さも適宜に変形可能である。
【0039】また、キャップ本体13の素材は可撓性を有するものであれば任意であり、例えば、ゴム、合成樹脂等であってもよい。キャップ本体13の作製方法も任意である。
【0040】また密閉空間から空気を排出するとともに密閉空間へ加圧空気を供給することができるものであれば、その空圧機械は真空ポンプの替わりに使用されうる。
【0041】また突起27は、図10及び図11に示すように、ポート15の周囲に設ける内側突起27aを真空加圧時に頭部を押圧するがそれ以外の時は頭部より離れる位の長さとし(具体的には、例えば20mm位)その外側に配設する外側突起27b、27cを真空加圧時以外の時も頭部に当接する位の長さとし(具体的には、例えば35mm位)とするのが望ましい。このようにすると、真空加圧工程及び薬液工程時における真空吸引によるキャップ本体13の動揺を防止し、また血行促進にも資する。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本願発明による育毛キャップによれば、キャップ本体と頭部との間に所定の空間を確保することができ、従って洗浄、育毛等のためにキャップ本体内に供給される蒸気、育毛剤等をむらなく頭皮全体に行き渡らせることができる。また、真空引きをした際に突起が頭皮を押圧して刺激しマッサージ効果を上げることができる。さらに、周縁シール部の進退が自在であるからキャップの装着を容易に行うことができる。さらにまた、空気の送入、排気を操作することによって、周縁シール部と頭部との関係について、シール状態及び開放状態のいずれをも選択することができるから、洗浄、育毛等のそれぞれの処理において最適の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明による育毛キャップの一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の育毛キャップの周縁シール部に、空気を供給して頭部との間をシールした状態を示した断面図である。
【図3】図1の育毛キャップを使用した育毛装置の回路図である。
【図4】本願発明による育毛キャップを使用した育毛装置の作動工程を示すフローチャートである。
【図5】図4のスチーム工程を示すフローチャートである。
【図6】図4の真空加圧工程を示すフローチャートである。
【図7】図4の薬液工程を示すフローチャートである。
【図8】本願発明による育毛キャップの他の実施の形態であって、周縁シール部の他の一例を示す断面図である。
【図9】本願発明による育毛キャップの他の実施の形態であって、周縁シール部の他の一例を示す断面図である。
【図10】本願発明による育毛キャップの他の実施の形態であって、突起の他の一例を示す底面図である。
【図11】図10の要部断面図である。
【符号の説明】
11 育毛キャップ
13 キャップ本体
15 ポート
17 周縁シール部
17a 段差
17b 段差
19 空洞
21 ポート
23 折り返し部
25 金属ベルト
27 突起
27a 内側突起
27b 外側突起
27c 外側突起
29 外側キャップ
30 顎ベルト
31 育毛装置
33 空間(密閉空間)
36 ポンプ
37 蒸気発生器
38 育毛剤供給ユニット
47 パイプ
48 パイプ
49 パイプ
50 パイプ
51 パイプ
52 パイプ
53 バルブ
54 パイプ
55 バルブ
57 バルブ
61 バルブ
63 ポンプ
64 バルブ
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(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
A45D 19/14
A45D 19/00 - 19/02
A61K 7/06
A61M 1/00 510
A61M 37/00
A61H 23/04