(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B)

(11)【公告番号】特公昭61−60042

(24)(44)【公告日】昭和61年(1986)12月19日

(54)【発明の名称】育毛・発毛用の処理剤セツト

(51)【国際特許分類第5版】

A61K 7/06

【発明の数】1

【全頁数】2

(21)【出願番号】特願昭52−136116

(22)【出願日】昭和52年(1977)11月11日

(65)【公開番号】特開昭54−70440

(43)【公開日】昭和54年(1979)6月6日

【審判番号】昭56−22839

(71)【出願人】

【識別番号】999999999

【氏名又は名称】村井 ○雄

【住所又は居所】奈良県北葛城郡王寺町本町2丁目xxx

(72)【発明者】

【氏名】村井 ○雄

【住所又は居所】奈良県北葛城郡王寺町本町2丁目xxx

(74)【代理人】

【氏名又は名称】弁理士 杉本 巌 (外1名)

【特許請求の範囲】次の頁からクレームは始まります。

【特許請求の範囲】

チオグリコール酸を主成分とする弱アルカリ性水溶液を第1液とし、酒石酸を主成分とする中和剤を第2液とし、ブロム酸カリウムを主成分とする酸化剤を第3液とした組み合わせの、オゾン又は酸素による育毛・発毛用の前記第1液第2液及び第3液よりなることを特徴とした育毛・発毛用の処理剤セツト。

【発明の詳細な説明】

本発明は永年解決できなかつた毛髪の禿頭における発毛を、還元剤、中和剤及び酸化剤の組み合わせ或いは前記3剤にオゾンの働きを加えて皮膚の組成を活化させて促進しようとするものである。

毛髪は皮膚の生産物であり、毛包の底部の毛母基でできる表皮細胞から生じる。毛母基で多数の細胞が急速に増殖して毛が伸長していることは判明している。一定の周期で毛母基の活動が強くなつたり弱くなつたりする毛周期があり、休止期を経て新毛が成長するが、新毛の成長する前に旧毛が脱落する。この脱落現象は毛包の内繊維組織と硝子膜の肥厚によつて内毛根鞘及び毛の成長が中止され、毛球部が角化して硬くなり毛根及び内毛鞘が下方より上方に向かつて漸次退縮する。そして皮脂線開口部近辺におよび、外毛根鞘も短縮して萎縮変化した乳頭を上方に引き寄せて脱落する。脱落するまえに上皮細胞が再生増殖活動を行うが、この上皮細胞内の毛母基の活動が中止すると新毛が生えないことになる。即ち、新毛を生じさせる筈の毛母基が活動途中で毛の組成として成長すべくシスチン結合せず、中途半端なシスチン化で止まつている状態である。

そこで毛の生える原理を説明すると次の通りである。

上皮細胞の蛋白質は顆粒状や環状になつておりケラチン(角質)化して長い鎖状のポリペプチドに変わる。更にケラチン化が進むとメルカプト基(SH基)のあるアミノ酸が減つてシステイン(C3H7NO2S)が酸化されてシスチン(C6H12N2O4S2)の形となり、最も進んだものがLシスチン(CYS−CYS)、即ち、シスチン結合によつて毛になるのである。

従つて毛を生やす原理はシスチン(C6H12N2O4S2)化の中途で活動が停止している上皮細胞蛋白質ケラチンにメルカプト基(SH基)を含む薬品で還元させてシステイン(C3H7NO2S)化し、次にオゾン(O3)又は酸素(O2)を与えて酸化させればシスチン(C6H12N2O4S2)化して、毛母基を新しく活動させることが可能である。

この毛を生やす原理を仮説として以下に説明する方法で禿頭の人に施術したところ、10人中完全な禿頭(いわゆるツルツル頭)者を除いて全員に短い硬い毛が歯ブラシの毛のように生えてきた。

そこで施術の実施方法を説明するとメルカプト基(SH基)を有する薬品であるチオグリコール酸(SHCH2COOH)3%〜7%の水溶液にアルカリ薬品を加えてPH8〜9にした弱アルカリ性水溶液を、頭皮(脱毛直後で完全な禿頭になつていない状態の頭皮)に擦り込み、合成樹脂製シートで頭部を約10分〜15分間包んで体温及び発汗で蒸し、該シートを除去後酒石酸(C4H6O6)溶液でアルカリを中和させ、次にブロム酸カリウムの水溶液を塗布し、そのままの状態で0.1ppm以下のオゾン発生ドライヤーに頭部を被嵌し、10分間前後40℃〜60℃に加温したオゾンを頭皮に吹きつけた後水洗するのである。

上記方法を月に2回同一人に施術したところ前記のように毛が生えてきたのである。

そこでこの方法の化学反応としての作用を以下に述べる。

活動を停止して新毛を生むことのできない状態での上皮細胞の毛母基でのケラチン中のシスチン(C6H12N2O4S2)結合は、

であり、これをチオグリコール酸(SHCH2COOH)を還元剤として還元させると

となつて、システイン(C3H7NO2S)化する。次にアルカリを中和させ、この状態でブロム酸カリウム酸化するとともにオゾン又は酸素の温風を与えて上記システイン(C3H7NO2S)化したものを強く酸化乾燥し再び活動するシスチン(C6H12N2O4S2)結合とさせたものが、

となつて毛の組成としてのシスチン(C6H12N2O4S2)結合として再び活動することになる。

上記の施術を育毛・発毛用の処理剤として組み合わせた物が本発明である。即ち本発明は、チオグリコール酸を主成分とする弱アルカリ性水溶液を還元剤として用い、酒石酸(C4H6O6)を主成分とした溶液を中和剤として用い、更にブロム酸カリウムの水溶液を酸化剤として用いることにより該3液を組み合わせて、上記施術と同等の育毛・発毛効果を得る育毛・発毛用の処理剤である。

係る本発明の処理剤の使用方法は、先ずチオグリコール酸を主成分とする弱アルカリ性水溶液を頭皮に擦り込み、合成樹脂製のシートで頭皮を10分〜15分被嵌して発汗作用によつて頭皮を蒸す。次に該アルカリを中和させるために、軽く酒石酸溶液を頭皮に塗布した後、ブロム酸カリウム水溶液によつて頭皮を酸化させるが、この際補助的にオゾン発生ドライヤーによつて頭皮を40℃〜50℃に10分間程度加温すると一層酸化作用が促進される。最後に頭皮を水洗する。この方法を数日毎に繰り返すことによつて数か月後には所期の育毛・発毛効果が得られる。

上記作用を有する本発明は、チオグリコール酸の還元作用と、ブロム酸カリウムとの相乗作用をするオゾン又は酸素の強力な酸化作用によつて、活動を停止した上皮細胞の蛋白質ケラチン中のシスチンに活力を与える方法で育毛または発毛させるのであるが、毛の発毛・育毛に関する毛の成長については科学的に明快に証明できない部分もある。例えばオゾンが毛細血管を拡張し、皮脂腺中の脂肪酸に如何に作用するのかその科学的生物的変化等である。しかし本発明は、上記の処理剤を組み合わせて脱毛した頭皮に塗布したところ、ツルツルの禿頭を除いてすべての人に硬い毛が生えてきたという極めて驚くべき画期的な効果を得た。